![]() がん疾患に罹患している患者の生物学的療法に対する感受性を測定するための方法
专利摘要:
本発明は、がん疾患に罹患している患者の、HERファミリーのメンバー(例えば、HER−1、HER−2、HER−3およびHER−4)のシグナル伝達経路の阻害に基づく標的化された生物学的療法に対する感受性を、バイオマーカー6キナーゼもしくはその翻訳後修飾された形態またはS6キナーゼの活性化のバイオマーカーもしくはその翻訳後修飾された形態の発現を腫瘍において測定することによって、測定するための方法に関する。 公开号:JP2011510306A 申请号:JP2010543368 申请日:2009-01-23 公开日:2011-03-31 发明作者:スヴォボダ,マレク;ディエフチアルコヴァ,マルタ;ハジュフ,マリアン;ラドーヴァ,レンカ 申请人:ウニヴェルジタ パラケーホ ヴ オロモウツ,レカルスカ ファクルタUniverzita Palackeho V Olomouci,Lekarska Fakulta;マサリュクヴ オンコロギキー ウスタヴMasarykuv Onkologicky Ustav; IPC主号:G01N33-574
专利说明:
[0001] 〔技術分野〕 本発明は、がん疾患に罹患している患者の、HER受容体ファミリーシグナル伝達経路の阻害に基づく生物学的療法に対する感受性を測定するための方法に関する。] [0002] 〔背景技術〕 悪性腫瘍の発生率および治療費の増加は、社会全体に対する直接の望ましくない影響を及ぼす深刻な医学的問題である。典型的な例は、乳房の悪性新生物であり、先進国で生活している女性において第2番目に頻度の高い悪性腫瘍である。ここ25年間で、チェコ共和国において新たに報告された乳がんの数は、ほぼ2倍に増加した。2004年に、新しい症例の絶対数が5628人、すなわち、女性100000人あたり107.4人の発生率であり、女性100000人あたり、40.06人の死亡数に達したことは、チェコ国立腫瘍学登録簿(Czech National Oncology Registry(NOR))の最新の完全なデータからわかる(www.svod.cz)。患者のおよそ20〜25%において、乳房の上皮性悪性腫瘍は、HER−2受容体の過度の発現を示し、この発現は、通常、遺伝子の増幅に基づいて起こる(以下に、HER−2陽性上皮性悪性腫瘍として報告した)。これらの上皮性悪性腫瘍は、高度の攻撃性とその結果としての予後不良とを特徴としている。他方では、HER−2受容体を標的とした有力な治療方法が存在する。例えば、モノクローナル抗体トラスツヅマブであり、HER−2陽性の乳房の上皮性悪性腫瘍の患者のためのアジュバント治療および対症療法として現在適応されている。化学療法との組合せにおいて、この抗体は、アジュバント治療の場合は、病気の再発を顕著に低減し、結果として、治癒した患者の数を増加させる。また、播腫性の疾患を有する患者に対して投与された場合は、寿命を顕著に延長させる。] [0003] 狭い範囲で選択されたHER−2陽性の上皮性悪性腫瘍患者群に対してトラスツヅマブが投与されているにもかかわらず、臨床反応は、すなわち、腫瘍反応および持続期間の両方に応じて変化しやすい。一般に、それは、およそ40%の症例において起こる。トラスツヅマブに対する疾患の抵抗性の原因は明確に究明されていない。HER−2受容体の損傷の結果、そのキナーゼ活性が失われるか、またはトラスツヅマブのモノクローナル抗体が結合できなくなるのかもしれない。HER−2受容体またはその調節因子の個々のシグナル伝達経路が変化したのかもしれない。HER遺伝子ファミリーの他のメンバーに対する治療法、例えば、セツキシマブ、ゲフィチニブまたはエルロチニブによるHER−1受容体の阻害においても、標的化治療の合理的な適応の必要性の問題は、HER−2受容体における標的化治療に対する類推によって、同様の方法で解決される。これらの薬剤は、他の腫瘍疾患の治療に適応される。例えば、結腸直腸、頭頸部のHER−1陽性の上皮性悪性腫瘍のために、セツキシマブが適応され、肺および膵臓の上皮性悪性腫瘍および他の適応症において、ゲフィチニブまたはエルロチニブが適応される。進展中の臨床研究の数の増加によって、古典的な細胞毒性治療では効果が十分ではない多くの臨床的な適応症において、HERファミリーに対する阻害剤の高い有効性が実証される。それにもかかわらず、この標的化された治療でさえ、全ての患者が利益を得るわけではない。さらに、およそ半数を上回る患者の大部分の症例において、この治療は失敗する。HERファミリーの個々のメンバーの高い相同性およびこれらのシグナル伝達経路の類似性に関して、効率性バイオマーカーが類似していると推測することができる。] [0004] 〔発明の開示〕 本発明の目的は、がん疾患に罹患している患者の、HER受容体ファミリーシグナル伝達経路の阻害に基づく生物学的療法に対する感受性を測定するための方法であり、この方法は、患者の身体から採取された生物学的材料を用いて行われ、バイオマーカーS6キナーゼもしくはその翻訳後修飾された形態またはS6キナーゼ活性化バイオマーカーもしくはその翻訳後修飾された形態が、腫瘍において測定される。バイオマーカーS6キナーゼもしくはその翻訳後修飾された形態またはS6キナーゼ活性化バイオマーカーもしくはその翻訳後修飾された形態が腫瘍において発現しているときは、その腫瘍は、HER受容体ファミリーシグナル伝達経路の阻害に基づく生物学的療法に対して抵抗性である。反対に、バイオマーカーまたはその翻訳後修飾された形態が腫瘍において発現していないときは、その腫瘍は、上記の生物学的療法に対して感受性があり、患者は、肯定的な全体的予後を有することが見出された。] [0005] 上記生物学的療法は、例えば、以下の細胞シグナル伝達に特異的な低分子阻害剤(通常、合成有機分子)または高分子(通常はタンパク質、一般的には抗体)の投与からなる: a)低分子HER−2受容体阻害剤、例えば、ラパチニブ等 b)HERファミリーの他のタンパク質類似体(例えば、HER−1、HER−3、HER−4)の低分子阻害剤、例えば、ゲフィチニブ、エルロチニブ等 c)高分子HER−2受容体阻害剤、例えば、トラスツヅマブ等 d)HERファミリーの他のタンパク質類似体(例えば、HER−1、HER−3、HER−4)の高分子阻害剤、例えば、セツキシマブまたはパニツムマブ等。] [0006] 上記生物学的材料は、腫瘍もしくは他の組織の生検試料または体液であり、生物学的材料において、試験されるバイオマーカーの存在が測定され得ることが本発明の側面である。] [0007] 好ましい実施形態において、S6キナーゼ活性化のバイオマーカーは、同時に制御されるタンパク質、例えば、限定されないが、リボソームタンパク質S6、タンパク質eIF4BおよびIRS−1を含むグループから選択される。] [0008] 上記がん疾患は、ヒトまたは動物起源の悪性腫瘍または良性腫瘍であり、好ましくは、造血器腫瘍、上皮系起源、間葉系起源および神経外肺葉系起源の腫瘍、すなわち、悪性の乳房、直腸結腸、肺、膵臓、頭頸部、脳、前立腺または皮膚の新生物を含む群から選択されることが本発明の側面である。] [0009] 上記発現の測定は、免疫分析法、免疫組織化学的方法、免疫細胞化学的方法、免疫蛍光技術、酵素分析、放射測定分析、シンチグラフィー分析、陽電子放射分光法、化学発光分析、蛍光分析、免疫沈降技術および質量分析法の原理に基づく方法を含む群から選択される検出方法を用いて行われることが本発明の側面である。] [0010] S6キナーゼ1(p70 S6K、S6K1と同義語)は、S6Kタンパク質ファミリーに属するセリン/スレオニンキナーゼである(Jastrzebski K. at al., Growth Factors. 2007; 25 (4): 209-26, Mamane Y., et al., Oncogene. 2006; 25 (48): 6416-22, Manning B.M., J Cell Biol. 2004;167 (3):399-403.)。ヒトゲノムは、S6Kの2つの形態:S6K1およびS6K2(S6Kbと同義語)をコードしている2つの異なる遺伝子を包含している。S6Kの両方の形態は、高度な配列相同性を示し、同じ生物学的機能を有する。S6K1タンパク質のp70またはp85の形態は、S6K1の翻訳後修飾に基づいて検出され得る。p70 S6K1(以下、S6Kp70と称する)は、細胞質において見つけられる。一方で、p85 S6K1は核に現れる。同様に、S6K2タンパク質の2つの形態であるp54およびp56があり、これらの両方が、細胞の核に現れる。S6K1をコードしている遺伝子は、HER−2受容体遺伝子と同じく、第17番染色体において見つけられる。この遺伝子を含む染色体領域の増幅とS6K1の過剰な発現とが、乳房の上皮性悪性腫瘍を含む多くの腫瘍細胞株において見つけられる。初期の乳房の上皮性悪性腫瘍において、S6K1は、症例の20〜36%において検出される;我々が用いたHER−2陽性の上皮性悪性腫瘍では、pSer235/236 S6K1の発現陽性が、63%以下の腫瘍において起こる。疾患の増悪までの平均期間(無増悪生存期間、PFS)が、陰性腫瘍においては16.1ヶ月であり、細胞質において陽性の腫瘍または細胞質と核とで陽性の腫瘍においては6.3ヶ月/7.8ヶ月であり、陰性発現は、トラスツヅマブによるHER−2の治療学的な阻害に対する良好な反応に関係していた。これらのデータは、S6K1の発現を示す腫瘍を有するほとんどすべての患者が、HER−2遺伝子の治療学的な阻害の利益をほとんど得ないことを示している。] [0011] S6K1は、分子のC−末端部、いわゆるT−ループキナーゼドメインにおいて、2つの異なる同一ではない触媒ドメインを含んでいる。S6K1の主な機能は、リボソームS6タンパク質およびeIF4Bタンパク質のリン酸化であり、その結果としてタンパク質合成を誘導する。最近の発見は、IRS−1タンパク質を用いる糖代謝の制御において、S6K1も役割を担っていることを示している。S6K1の活性は、細胞増殖および細胞の生存の亢進に寄与する。S6K1の抗アポトーシス作用は、BADタンパク質のリン酸化を介したBcl−2タンパク質の活性に対するS6Kの調節性の活性によってさらに増強される。] [0012] S6K1キナーゼは、シグナル伝達経路PI3K/AKT/mTOR(mammalian target of rapamycin:哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)の一部であり、mTORからのシグナル伝達の主なエフェクターとして機能する。PI3K/AKTシグナル伝達経路は、これらのリガンドによって増殖因子受容体が刺激された結果として活性化される。HER−2陽性の乳房の上皮性悪性腫瘍の場合は、すなわちHER−2受容体によって活性化され、EGFR、HER−3およびIGF−R受容体によっても活性化される。] [0013] mTORは、PI3KおよびAKTキナーゼの作用によって活性化され、mTOR活性を制御する結節硬化症タンパク質TSC1およびTSC2を負に阻害する。S6K1をリン酸化(活性化)するためのmTORの能力は、3つのタンパク質:ラパマイシン感受性アダプタータンパク質、mTOR(レプター)、Gタンパク質β−サブユニット様タンパク質(GβL)および40kDaプロテインキナーゼBのプロリンリッチ基質(PRAS40)を含むタンパク質複合体の形成にさらに依存している。“mTOR複合体1”(mTORC1)として指定されたこの複合体は、その後、最小で2つのタンパク質残基においてS6K1をリン酸化する。すなわち、第389位におけるスレオニンのリン酸化は、S6K1がさらに機能するために必須であり、これによってPDK1キナーゼによるS6K1のさらなるアミノ酸残基のリン酸化を誘発する。] [0014] 我々の結果は、標的化されたトラスツヅマブ療法または他のHER−2受容体阻害剤による治療法に対して、タンパク質S6Kが、HER−2陽性の乳房の上皮性悪性腫瘍の有望な予測マーカーであることを示している。シグナル伝達経路の類似性に関して、S6Kは、HER受容体ファミリーのシグナル伝達経路の治療学的な阻害に対する反応の一般的な予測マーカーであるかもしれないと推定することができる。] [0015] 明細書の全体において示されるデータとの関連において、悪性腫瘍の診断および治療法は、社会全体に対する直接の望ましくない影響を及ぼす深刻な医学的問題であると思われる。標的化された抗腫瘍療法は、一方で、上述した利点をしめすが、他方で、重大な経済的負担をもたらす。分子抗体に基づく標的化された抗腫瘍薬剤を使用する費用は、通常、患者1年あたり、合計100万チェコクラウン貨幣を超える。HER受容体を標的とした抗腫瘍療法に対する反応の予測のためにS6Kの検出を使用することによって、HER阻害によって治療学的な利益を受ける可能性が最小である患者において、治療法の合理化、金融資産の節約、不必要なストレスの軽減をもたらすかもしれない。さらに、S6K陽性腫瘍を有する患者は、さらに効果的な他の治療法が提供されるかもしれない。] [0016] 〔図の簡単な説明〕 図は、実施例1による、腫瘍における個々のバイオマーカーの発現を、光学顕微鏡を用いて免疫組織化学的に検出したそれぞれのバイオマーカーの例を示し、バイオマーカーの発現を有する乳房の腫瘍(陽性腫瘍)のマイクロ写真およびバイオマーカーの発現を有さない腫瘍(陰性腫瘍)のマイクロ写真を示す。無増悪生存期間時間、PFSによって評価されたトラスツヅマブの治療学的な有効性の長さとの関連において、関係しているバイオマーカーの(全てのまたは細胞区分:核、細胞質またはこれらの組合せにおける)発現の有意性についての生物静力学的評価の結果(y軸における累積生存率およびx軸における数ヶ月にわたる期間);および全生存、OS(y軸における累積生存率およびx軸における数年にわたる期間);MST=平均生存期間(月/年);実施例2による、ロング−ランク検定(long-rank test)によって評価された統計上の有意性のレベルが、図においてさらに示される。] [0017] 図1:バイオマーカー:全てのAct(全)キナーゼ;抗体:(11E7)ウサギmAb(セルシグナリング、USA) 図2:バイオマーカー:pSer473 Actキナーゼ;抗体:(587F11)マウスmAb(セルシグナリング、USA) 図3:バイオマーカー:pSer/Thr Actキナーゼ;抗体:基質、ウサギmAb(セルシグナリング、USA) 図4:バイオマーカー:pThr308 Actキナーゼ;抗体:(244F9H2)ウサギmAb(セルシグナリング、USA) 図5:バイオマーカー:全てのERK1/2キナーゼ;抗体:p44/42MAPウサギmAb(セルシグナリング、USA) 図6:バイオマーカー:pERK1/2キナーゼ;抗体:p44/42 MAPK(Thr202/Tyr204)(20G11)ウサギmAb(セルシグナリング、USA) 図7:バイオマーカー:全てのGSK3βキナーゼ;抗体:(27C10)ウサギmAb(セルシグナリング、USA) 図8:バイオマーカー:pSer9 GSK3βキナーゼ;抗体:ウサギmAb(セルシグナリング、USA) 図9:バイオマーカー:全てのmTORキナーゼ;抗体:(7C10)ウサギmAb(セルシグナリング、USA) 図10:バイオマーカー:pSer2448 mTORキナーゼ;抗体:(49F9)ウサギmAb(セルシグナリング、USA) 図11:バイオマーカー:全ての抗MUC4タンパク質;抗体:(1G8)マウスmAb(ザイメッド、USA) 図12:バイオマーカー:全てのPTENタンパク質;抗体:(138G6)ウサギmAb(セルシグナリング、USA) 図13:バイオマーカー:全てのS6Kタンパク質;抗体:S6リボソームタンパク質(5G10)ウサギmAb(セルシグナリング、USA) 図14:バイオマーカー:pSer235/236 S6Kタンパク質;抗体:リン酸化−S6リボソームタンパク質(91B2)ウサギmAb(セルシグナリング、USA)。] 図1 図10 図11 図12 図13 図14 図2 図3 図4 図5 [0018] 〔本発明の実行の例〕 実施例1 バイオマーカー発現の免疫組織化学的測定 免疫組織化学的検出のために、種々の技術を用いて処理して薄く切断した生検材料、最も高い頻度ではパラフィン中に埋め込まれたホルマリン固定された組織、を用いてもよい。免疫組織化学的反応は、一次抗原と組織抗原との結合の視覚化を示している。使用した特定の方法に従って、場合によっては、二次抗体もしくは三次抗体の特異的な反応、または他のシグナル増幅系も続けて行う。使用される標識のタイプ、高い頻度では酵素標識、に応じて、抗原は、適切な色素原によって特異的な結合が起こる部位おいて可視化される。抗体と抗原との結合は、目に見える反応なしに進む。光学顕微鏡または蛍光顕微鏡の一般的な方法による標本の観察を可能にするために、抗原の局在およびそれに結合する分子の可視化のための、いわゆる色素原または蛍光色素を用いるべきである。FITC(fluorescein-isothiocyanate:フルオレセイン−イソチオシアネート)は、免疫蛍光法において最も高い頻度で用いられる。免疫酵素反応において、抗体は、例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼといった酵素と連結することによって標識される。組織の状況における陽性構造の局在化のために、免疫組織化学法または免疫蛍光法において、例えば、ヘマトキシリンまたはヘキスト型の蛍光染料による切片の対比染色がしばしば用いられる。] [0019] 組織を切断し、標準的な方法によって任意で脱パラフィン処理した後で、スライドあたり0.5mlのブロッキング溶液(例えば、トリス緩衝食塩水pH7.2〜7.4、TBSにおける3%無脂肪乳)中で、通常、室温で1時間にわたってインキュベートすることによって、非特異的な結合部位のブロッキングを行う。ブロッキング溶液を捨てた後で、TBS中において、スライドを、簡単に2回(×2)すすぐ。適切に希釈した一次抗体を、ブロッキング溶液または製造業者によって推奨される他の適切な媒体のどちらかにおいて、1〜10μg/mlの濃度で、通常は適応した。スライドを、湿室において、室温で2時間にわたってインキュベートするか、冷蔵庫において一晩インキュベートした。その後、TBS中で素早く2回(2×)すすぐことによって、一次抗体を洗い流し、その後、攪拌機においてわずかに動かしながら、TBS中で試料を5分間に渡って3回(3×)インキュベートした。その後、適切に希釈した、例えばペルオキシダーゼによって標識された二次抗体を、通常は再びブロッキング溶液中で適応した。湿室において、室温で、10〜60分間にわたって試料をインキュベートした。その後、TBS中で二次抗体を素早く2回(2×)洗い流し、その後、攪拌機においてわずかに混合しながら、TBS中で5分間にわたって3回(3×)インキュベートした。最後に、新しく調製した基質色素原溶液、例えば、ペルオキシダーゼに基づく検出系を用いる場合に、ジアミノベンジジン(10mg/mlおよび0.3%過酸化水素水)の含有量を、10〜20分の期間に渡って、スライドにかけた。基質溶液を捨て、TBS中で2回(2×)すすぐことによって反応を停止した。通常1分間にわたってヘマトキシリン溶液によって標本を対比染色し、水道水中ですすいだ。標本を脱水し、光学顕微鏡に搭載し、光学顕微鏡下で観察した。目的の集団における陽性細胞の割合、または抗原の細胞内の局在(例えば、核対細胞質陽性)を、半定量的に分析した。結果は、以下のように評価した:1.標的の集団において5〜10%より少ない細胞が陽性である場合は、陰性、2.標的の集団において10%より多く50%より少ない細胞が陽性である場合は、わずかに陽性、3.標的の集団において50%より多い細胞が陽性である場合は、強陽性。個々のバイオマーカー(全てのActキナーゼ、pSer473 Actキナーゼ、pSer/Thr Actキナーゼ、pThr308Actキナーゼ、全てのERK1/2キナーゼ、pThr202/Tyr204 ERK1/2キナーゼ、全てのGSK3βキナーゼ、pSer9 GSK3βキナーゼ、全てのmTORキナーゼ、pSer2448 mTORキナーゼ、MUC4タンパク質、全てのPTENタンパク質、全てのS6Kタンパク質、pSer235/236 S6Kキナーゼ)に関する試験の結果を図1〜14において示す。] 図1 図10 図11 図12 図13 図14 図2 図3 図4 図5 [0020] 実施例2 個々のバイオマーカーの生物静力学的評価 2004年から2007年の間に、我々は、チェコ共和国の厚生省の内部助成金機関によって支援された研究プロジェクト(NR8335)およびチェコ共和国の産業省の内部助成金機関によって支援された研究プロジェクト(MPO1H−PK/45)に従事した。その目的は、トラスツヅマブに対する耐性をもたらす機構を明らかにし、乳がんのための新しい診断ツールを開発することであった。これらのプロジェクトの枠組み内で、我々は、140人の女性において、初期のHER−2陽性の乳房の上皮性悪性腫瘍におけるおよそ20の異なるタンパク質の出現および活性を測定した。これらの患者の半分は、標的化生物学的治療、トラスツヅマブによって治療されていた。我々の結果は、測定されたタンパク質の内の1つ、すなわちS6キナーゼ1(S6K1)が、トラスツヅマブに対して耐性を有する疾患の強力な予測因子であることをはっきりと示している。さらに、S6キナーゼ1は、HER−2陽性の腫瘍の標本において、十分な頻度の陽性(浸透)を有するバイオマーカーであり、それゆえ、単一遺伝子の予測因子として用いられたとしても、高い精度でHER−2阻害療法に対する反応を予測することができる。] [0021] 個々のマーカーの臨床的な有意性の検証のための例として、トラスツヅマブによって処置された進行性のHER−2陽性の乳がんの診断を有する女性患者群を用い、その腫瘍を、評価されたバイオマーカー(全てのActキナーゼ、pSer473 Actキナーゼ、pSer/Thr Actキナーゼ、pThr308 Actキナーゼ、全てのERK1/2キナーゼ、pThr202/Tyr204 ERK1/2キナーゼ、全てのGSK3βキナーゼ、pSer9 GSK3βキナーゼ、全てのmTORキナーゼ、pSer2448 mTORキナーゼ、MUC4タンパク質、全てのPTENタンパク質、全てのS6Kタンパク質、pSer235/236 S6Kキナーゼ)に関して検討した。臨床的な変数として、無増悪生存期間(PFS)および月/年における全生存(OS)を用いた。無増悪生存期間は、処置の開始から疾患の進行が確認されるまで、または患者と最後に接触した日までの期間として測定した。全生存は、診断から死亡または最後の接触までの期間である。生存曲線を、カプラン・マイヤー法(Kaplan,J Am Stat Assoc 1958)の手法によって作成した。無増悪生存期間および全生存に関連する危険因子を同定するために、単一変異分析(univariation analysis)を行った。生存曲線間の違いは、ログランク検定(Peto, J R Stat Soc 1972)の手法によって比較した。単一変異分析において、以下の因子を評価した:免疫組織化学的染色の陽性、疾患の進行に対する平均生存期間(MST)および患者の全生存(共に数ヶ月間にわたって)。個々のバイオマーカー(全てのActキナーゼ、pSer473 Actキナーゼ、pSer/Thr Actキナーゼ、pThr308 Actキナーゼ、全てのERK1/2キナーゼ、pThr202/Tyr204 ERK1/2キナーゼ、全てのGSK3βキナーゼ、pSer9 GSK3βキナーゼ、全てのmTORキナーゼ、pSer2448 mTORキナーゼ、MUC4タンパク質、全てのPTENタンパク質、全てのS6Kタンパク質、pSer235/236 S6Kキナーゼ)に関する統計的な評価の結果を図1〜14において示す。] 図1 図10 図11 図12 図13 図14 図2 図3 図4 図5 [0022] 〔産業上の利用可能性〕 本発明にかかる方法によって、HERシグナル伝達経路の阻害剤による処置の必要を示すがん患者群から、治療がほぼ確実に有益となる患者のみを予想することが可能である。それゆえ、個人にあわせた治療法によって、治療費用の最適化がもたらされ、患者は、望まない毒性および生活の質の低下を示す効果の無い治療によって苦しめられることがない。] 図面の簡単な説明 [0023] バイオマーカー:全てのAct(全)キナーゼ;抗体:(11E7)ウサギmAb(セルシグナリング、USA) バイオマーカー:pSer473 Actキナーゼ;抗体:(587F11)マウスmAb(セルシグナリング、USA) バイオマーカー:pSer/Thr Actキナーゼ;抗体:基質、ウサギmAb(セルシグナリング、USA) バイオマーカー:pThr308 Actキナーゼ;抗体:(244F9H2)ウサギmAb(セルシグナリング、USA) バイオマーカー:全てのERK1/2キナーゼ;抗体:p44/42MAPウサギmAb(セルシグナリング、USA) バイオマーカー:pERK1/2キナーゼ;抗体:p44/42 MAPK(Thr202/Tyr204)(20G11)ウサギmAb(セルシグナリング、USA) バイオマーカー:全てのGSK3βキナーゼ;抗体:(27C10)ウサギmAb(セルシグナリング、USA) バイオマーカー:pSer9 GSK3βキナーゼ;抗体:ウサギmAb(セルシグナリング、USA) バイオマーカー:全てのmTORキナーゼ;抗体:(7C10)ウサギmAb(セルシグナリング、USA) バイオマーカー:pSer2448 mTORキナーゼ;抗体:(49F9)ウサギmAb(セルシグナリング、USA) バイオマーカー:全ての抗MUC4タンパク質;抗体:(1G8)マウスmAb(ザイメッド、USA) バイオマーカー:全てのPTENタンパク質;抗体:(138G6)ウサギmAb(セルシグナリング、USA) バイオマーカー:全てのS6Kタンパク質;抗体:S6リボソームタンパク質(5G10)ウサギmAb(セルシグナリング、USA) バイオマーカー:pSer235/236 S6Kタンパク質;抗体:リン酸化−S6リボソームタンパク質(91B2)ウサギmAb(セルシグナリング、USA)]
权利要求:
請求項1 がん疾患に罹患している患者の、HER受容体ファミリーシグナル伝達経路の阻害に基づく生物学的療法に対する感受性を測定するための方法であり、当該患者の身体から採取された生物学的材料を用いて行われ、バイオマーカーS6キナーゼもしくはその翻訳後修飾された形態またはS6キナーゼ活性化バイオマーカーもしくはその翻訳後修飾された形態の発現が腫瘍において測定されることを特徴とする、方法。 請求項2 上記生物学的材料は、上記腫瘍もしくは他の組織の生検試料または体液である、請求項1に記載の方法。 請求項3 上記S6キナーゼ活性化のバイオマーカーは、リボソームタンパク質S6、タンパク質eIF4BおよびIRS−1を含む群から選択される、請求項1に記載の方法。 請求項4 上記S6キナーゼは、S6キナーゼ1またはS6キナーゼ2である、請求項1に記載の方法。 請求項5 上記がん疾患は、ヒト起源または動物起源の悪性腫瘍または良性腫瘍であり、好ましくは、造血器腫瘍、上皮系起源、間葉系起源、および神経外胚葉系起源の腫瘍を含む群から選択される、請求項1に記載の方法。 請求項6 上記がん疾患は、悪性の、乳房、結腸直腸、肺、膵臓、頭頸部、脳、前立腺および皮膚の新生物を含む群から選択される、請求項5に記載の方法。 請求項7 上記生物学的療法は、HER受容体ファミリーシグナル伝達経路に特異的な、低分子阻害剤または高分子阻害剤の投与を包含している、請求項1に記載の方法。 請求項8 上記発現の測定は、免疫分析法、免疫組織化学的方法、免疫細胞化学的方法、免疫蛍光法技術、酵素分析、放射測定分析、シンチグラフィー分析、陽電子放射トモグラフィー、化学発光分析、蛍光分析、免疫沈降技術および質量分析法の原理に基づく方法を含む群から選択される検出方法を用いて行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
类似技术:
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